所在地 | 大阪府池田市木部町133 |
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TEL | 0727512763 |
山号 | 松尾山 |
宗派 | 曹洞宗 |
本尊 | 釈迦如来(十一面観音立像も安置) |
開山 | 永公 |
創建 | 享徳2年(1453年) |
札所 | 摂北三十三ヶ所観音霊場第14番札所 |
永興寺(えいこうじ)は、大阪府池田市木部町にある曹洞宗の仏教寺院です。山号は松尾山で、室町時代の享徳2年(1453年)に僧・永公によって開創されました。境内には桧の一木から彫られた十一面観音立像が安置されており、藤原時代(約1100年前)の作とされるこの像は池田市指定の重要文化財です。また永興寺は摂津国北部を巡る「摂北三十三ヶ所観音霊場」の第14番札所でもあります。
永興寺の山門は、木部天神宮(木部天満宮)の赤い鳥居脇の坂道を少し上った所にあります。すぐに寺域が見えてきますが、一見すると普通の民家と見間違えるような質素な佇まいの門構えで、落ち着いた雰囲気を醸し出しています。小規模ながらもしっかりと寺域を区切る役割を果たし、境内への入口となっています。
本堂は永興寺の中心となる建物で、寺の本尊が安置されています。曹洞宗の寺院であるため釈迦如来像を本尊としていますが、同時に古来より伝わる十一面観音立像も本堂に安置されています。現在の永興寺では釈迦如来を本尊としつつも、十一面観音像は池田市指定文化財として大切に祀られており、その歴史的価値から観音霊場巡礼の参拝者からも信仰を集めています。
境内には鐘楼も設けられています。木造の小さな鐘楼には梵鐘が吊るされており、朝夕の合図や法要の際に撞かれてきました。素朴な造りの鐘楼ですが、周囲の静かな環境と相まって趣深い風情を見せています。寺に訪れると、鐘楼越しに聞こえる鐘の音が往時からの信仰の歴史を今に伝えています。
永興寺の十一面観音立像は、本堂に安置される木彫りの観音菩薩像です。ヒノキの一木から彫り出された高さ約148.5cmの立像で、頭上に小さな面(仏面)を備えていることから十一面観音像と判別されています。製作年代は藤原時代と推定され、約1100年もの古い歴史を持つ像で、池田市の有形文化財に指定されています。伝承では、この観音像はもとは木部天神宮の神宮寺である松梅寺の本尊であったとされますが、松梅寺についての詳しいことは不明です。永興寺では長年にわたりこの観音像を信仰の対象として守り伝えており、霊場巡礼の御詠歌(ごえいか)にもその存在が歌われています。
1453年
(享徳2年)
永興寺は室町時代の享徳2年(1453年)に僧・永公(えいこう)によって開かれました。伝承によれば、永公が当地を訪れた際、粗末な庵に十一面観音像が祀られているのを見つけ、一夜を明かしたところ観音菩薩のお告げを受けて寺院建立を決意したとされています。
1685年
(貞享2年)
江戸時代の貞享2年(1685年)、摂津国北部の観音札所を巡る「摂北三十三ヶ所観音霊場」が久安寺塔頭・宝積院の住職であった円海尊者によって開創され、永興寺も第14番札所に定められました。以降、霊場巡りの寺として地域の信仰を集めています。