所在地 | 大阪府池田市井口堂3-3-4 |
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TEL | 0727613707 |
宗派 | 浄土真宗本願寺派 |
山号 | 成徳山(せいとくざん) |
本尊 | 阿弥陀如来(木造) |
創建 | 寛永14年(1637年) |
正智寺(しょうちじ)は、大阪府池田市井口堂に所在する浄土真宗本願寺派(西本願寺系)の寺院である。寺伝によれば南北朝時代に現在の大阪国際空港付近に一宇の精舎が建立されたのが起源とされ、江戸時代初期の寛永14年(1637年)に本願寺の僧・正西(しょうさい)によって正式に開かれた。江戸時代には後陽成天皇の皇子・良純法親王の生母庭田具子(にわたともこ)が当寺で17年間にわたり隠棲したという逸話でも知られる。昭和初期、大阪第二飛行場(現・大阪国際空港)建設に伴い旧所在地が敷地となったため、寺は現在地である池田市井口堂3丁目へと移転している。
正智寺の本堂は、本尊の阿弥陀如来を安置し法要が営まれる中心堂宇である。旧所在地(池田市小坂田)から現在地への移転後、昭和期に再建されたもので、木造平屋建ての質素な構えとなっている。広間式の浄土真宗本堂で、内陣と外陣に分かれ、親鸞聖人の御影など浄土真宗寺院ならではの荘厳が整えられている。
境内入口に建つ山門は、切妻造瓦葺(きりづまづくり・かわらぶき)の門であり、ひっそりとした境内にあって重厚な瓦屋根が目を引く。移転後に再建されたものだが、木製の門柱や梁には古色が漂い、小規模ながら寺の風格を感じさせる。門扉を入ると正面に本堂が構え、左右に寺墓地や庫裡へ通じる通路が配されている。
本堂内陣中央に安置されている本尊の阿弥陀如来像は、江戸時代の創建当初より伝わる木造仏像であると伝えられる 。浄土真宗の寺院であることから脇侍(きょうじ)は置かず阿弥陀如来一尊を本尊とし、脇壇には親鸞聖人と蓮如上人の御影が祀られている。また、本堂内には良純法親王の念持仏と伝わる仏画が安置されているともいわれ、寺の歴史を物語る存在となっている。
境内には、良純法親王御遺跡顕彰会によって昭和12年(1937年)に建立された「良純親王並びに御生母遺蹟顕彰碑」が立ち、良純法親王と庭田具子母子の遺徳を今に伝えている。また、庭田具子の墓石(供養塔)が祀られており、長年隠棲した当寺で静かに眠っているとされる。正智寺は庭田具子ゆかりの寺宝も所蔵しており、具子が使用した粟田焼の燭台や、良純法親王自筆の書軸などが現存している。これらの史跡や遺品は、正智寺が地域の歴史と皇族ゆかりの伝承を今に伝える貴重な拠り所となっている。
南北朝時代
(14世紀)
現在の大阪空港付近に一宇の精舎が建立されたのが当寺の始まりと伝えられる。
1637年
(寛永14年)
寛永14年、本願寺の僧・正西によって正智寺が開創され、この年に本尊安置の許可(木仏免許)を受けている。
1939年
(昭和14年)
大阪第二飛行場(現・大阪国際空港)建設計画に伴い、小坂田の旧寺地が用地となったため、昭和14年前後までに寺院が現在地の池田市井口堂へ移転完了した。以後、旧地にあった墓地や史料も新天地へ移され、現在に至っている。