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正福寺せいふくじ

大阪府池田市石橋にある、浄土真宗本願寺派の新旧が交差する寺院

所在地 大阪府池田市石橋4-15-14
TEL 0727622634
宗派 浄土真宗本願寺派(本山・西本願寺)
山号 古柳山(こりゅうざん)
本尊 阿弥陀如来立像(木造)
開基 教西(きょうさい、松本権之進定勝)※元亀元年(1570年)創建

戦国期の創建から近代移転とステンドグラス本堂へ

正福寺は、大阪府池田市石橋にある浄土真宗本願寺派(西本願寺)のお寺です。戦国時代の元亀元年(1570年)に近江国出身の武将・松本権之進定勝(教西)によって開かれ、その創建から約450年の歴史を有する古刹です。昭和16年(1941年)に大阪国際空港(伊丹空港)の拡張に伴い現在地の石橋へ移転してきました。伝統的な寺院建築と近代的なステンドグラス欄間の調和が特徴で、現代では音楽法要など様々なイベントを開催する開かれた寺院として地域に親しまれています。

  • 山門(さんもん)

    正福寺の山門は、境内正面の入り口に構えられた伝統的な門で、寺域への玄関口となっています。現在の石橋への移転時に再建されたもので、切妻屋根の薬医門風の簡素な造りながら堂々とした佇まいを見せます(※石橋移転当時の建立と推定)。門上部には寺号を掲げた額が掛けられ、浄土真宗寺院らしく格式と温かみのある雰囲気を醸し出しています。

  • 本堂(ほんどう)

    正福寺の本堂は入母屋造の伝統的な木造寺院建築です。昭和16年の移転の際に旧所在地から移築・再建されたもので、主要な建材は旧本堂のものが再利用されたと伝えられています。内部には本尊である阿弥陀如来立像(木造)が安置されています。この阿弥陀如来像は、寛永14年(1637年)に本願寺から迎えられたもので、以後正福寺の信仰の中心となっている尊像です。本堂正面の欄間部分には、大きなステンドグラスが嵌め込まれているのが大きな特徴です。このステンドグラスは「浄土の情景」と題する作品で、平成5年(1993年)の本堂改修の際に制作されたものです。ステンドグラス作家・平岡正勝氏に依頼して製作されたもので、昼は極楽浄土に舞う飛天が花びらを散らし、夜になると飛天が楽器を奏でる情景が表現されています。伝統的な和風建築と色鮮やかなガラス芸術の融合が生み出す独特の雰囲気は、正福寺本堂の見どころとなっています。

  • ナムのひろば文化会館と仏塔

    正福寺の境内北側には、平成24年(2012年)に新設された近代的な多目的ホール「ナムのひろば文化会館」と白い半球状の仏塔があります。ナムのひろば文化会館は檀信徒や地域住民の集いの場として建てられた施設で、音楽法要や講演会など各種イベントが開催されています。隣接する仏塔は、インドのブッダガヤ(仏陀が悟りを開いた聖地)の土で作られた小さな仏像と、釈迦がその下で悟りを開いたとされる菩提樹の葉7枚が奉納された奉安塔です。丸みを帯びた独特のフォルムを持つ真新しい仏塔は、正福寺が現代においても仏教の伝統を継承しつつ国際色豊かな信仰を取り入れていることを象徴しています。これら新設の施設群により、正福寺は従来の伽藍に加えて地域交流と国際的視野を持った信仰空間を備える寺院へと発展しています。

正福寺のあゆみ

  • 1570年
    (元亀元年)

    開基・創建

    松本権之進定勝(教西)は近江源氏の流れを汲む武将でしたが、織田信長との戦いに敗れて摂津国川辺郡神津村小阪田(現在の伊丹空港付近)に落ち延び、小さな庵を結んで出家しました。伝承によれば、元亀元年(1570年)頃、教西が古柳の下に湧く清水で喉の渇きを癒やそうとした際、水面に浮かぶ蓮の花の下に小さな厨子を見つけました。その厨子に納められていた高さ3㎝ほどの阿弥陀如来の木像を教西は庵に持ち帰って安置し、これが正福寺の起源になったと伝えられています。

  • 1637年
    (寛永14年)

    本願寺派に所属

    正福寺が浄土真宗本願寺派の寺院として公許され、正式に「正福寺」の寺号が認められました。このとき本尊となる阿弥陀如来像を京都の本願寺より迎えて安置し、現在まで当寺のご本尊としています。これにより正福寺は本願寺派寺院としての体制が整いました。

  • 1941年
    (昭和16年)

    現在地へ移転

    伊丹飛行場(大阪第二飛行場、現・大阪国際空港)の拡張計画により、正福寺はそれまで所在した伊丹市小阪田の地を離れることを余儀なくされました。昭和16年、現在地である池田市石橋の地へ本堂以下伽藍を移転再建しています。戦後は高度経済成長に伴い周辺地域に転入した新しい門信徒にも門戸を開き、積極的な伝道と地域交流活動を展開しました。

  • 1993年
    (平成5年)

    本堂の改修

    老朽化した本堂の大規模改修工事および庫裡(くり、住職の居住・寺務所)の改築が行われ、この年にすべて竣工しました。本堂内部にはステンドグラス欄間の新調など現代的な意匠も取り入れられています。

  • 2012年
    (平成24年)

    境内の拡張

    境内北側の隣接地を取得して寺域を倍増し、新たに「ナムのひろば文化会館」という集会施設と白色ドーム型の仏塔を建立しました。この拡張整備によって、従来からの伽藍に加えて地域交流のための施設と、新たなシンボルとなる仏塔が境内に加わっています。

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