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正国寺しょうこくじ

大阪府池田市天神にある、浄土真宗本願寺派の歴史ある寺院

所在地 大阪府池田市天神2丁目4-13
TEL 0727614785
山号 梅谷山
宗派 浄土真宗本願寺派(西)
本尊 阿弥陀如来(両脇に親鸞聖人・蓮如上人の絵像)
創建 正保元年(1644年)

寺子屋の伝統と知白翁碑が物語る正国寺

正国寺(しょうこくじ)は、大阪府池田市天神にある浄土真宗本願寺派(西本願寺系)の寺院です。江戸時代初期の正保元年(1644年)に開創された古刹で、約380年の歴史を持ちます。山号は「梅谷山」で、本尊は阿弥陀如来、左右脇侍として親鸞聖人と蓮如上人の絵像を安置しています。 江戸時代には寺子屋が開かれており、現在の池田市立北豊島小学校の前身として地域の教育に寄与しました。また境内には、池田出身の豪農で西本願寺の財政改革に尽力した岸上小右衛門(通称「大根屋小右衛門」)を顕彰する大きな石碑(知白翁碑)が建立されています。この石碑は小右衛門の没後3年目にあたる文久3年(1863年)に建てられたもので、正国寺の歴史的景観の一部となっています。

  • 本堂

    現在の本堂は老朽化のため昭和50年(1975年)に再建されたものです。木造瓦葺きの伝統的な寺院建築ですが、外観は少し大きめの民家のような雰囲気も持っています。江戸時代には本堂で寺子屋が開かれ、地域の子どもたちに読み書きや習字が教えられていました。その寺子屋は後に近代学校へ発展し、現在の北豊島小学校となっています。本堂は地域の信仰と教育の場として長年親しまれてきました。

  • 本尊

    本堂内のご本尊は阿弥陀如来です。両脇には浄土真宗の開祖である親鸞聖人と中興の祖である蓮如上人の肖像画(絵像)が安置されており、浄土真宗本願寺派の寺院らしい荘厳となっています。阿弥陀如来は極楽浄土で衆生を迎える仏として信仰されており、正国寺でも阿弥陀如来をご本尊として門信徒の信仰の中心となっています。

  • 知白翁碑(岸上小右衛門碑)

    正国寺の境内には、「知白翁墓」と刻まれた大型の石碑が建っています。これは江戸時代後期の豪商で寺の篤信の門徒であった岸上小右衛門(きしがみ こえもん、通称:大根屋小右衛門)の顕彰碑です。岸上小右衛門は池田の豪農出身で、勤勉実直な人格から藩の財政再建を任され、主に岸和田藩や麻田藩、そして西本願寺の財政改革に大きく貢献しました。その功績を讃えて、没後3年にあたる文久3年(1863年)に門徒たちによってこの碑が建立されたと伝えられます。石碑には法名である「知白翁」が刻まれ、小右衛門の遺徳を現在に伝えています。なお、小右衛門の墓所自体は京都東山区の大谷本廟にありますが、この正国寺の碑は地域における彼の足跡を示す史跡となっています。

正国寺のあゆみ

  • 1644年
    (正保元年)

    創建

    江戸幕府第3代将軍徳川家光の治世下である正保元年(1644年)、現在の池田市天神の地に正国寺が創建されました。以後、浄土真宗本願寺派の一寺として地域に根付き、門徒の教化と地域社会での活動を開始しました。創建当初の詳しい事情や開基者については不詳な点もありますが、この年をもって正国寺の歴史が始まったと伝えられています。

  • 1863年
    (文久3年)

    知白翁碑の建立

    幕末の文久3年(1863年)、正国寺の熱心な門徒であった岸上小右衛門(大根屋小右衛門)を讃える顕彰碑「知白翁碑」が境内に建立されました。小右衛門は財政コンサルタント(当時の呼称で「勘者」)として西本願寺や周辺諸藩の財政改革に尽力した人物で、万延元年(1860年)に77歳で没しています。門徒たちはその功績を後世に伝えるため、没後3年目にあたる1863年に記念碑を建立しました。この碑は以後、正国寺境内の歴史的象徴として人々の目を引く存在となりました。

  • 1975年
    (昭和50年)

    本堂の再建

    昭和50年(1975年)、老朽化した本堂の建て替え工事が行われ、本堂が全面的に再建されました。再建前の旧本堂は長年にわたり使用され老朽化が進んでいたため、この再建によって寺院建築の安全性と機能性が向上しました。新しい本堂は鉄筋コンクリートを用いず伝統的な木造様式を踏襲しつつも、外観は現代的に整えられています(再建後の本堂の外観は民家風であるといわれています)。この昭和期の本堂再建により、正国寺は引き続き地域の人々が安心して集える場となりました。

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