所在地 | 大阪府豊中市城山町2-2-31 |
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電話 | 06-6862-0031 |
宗派 | 浄土真宗本願寺派(西本願寺) |
開創年(伝) | 1534年頃 |
備考・特徴 |
城山町の町中に佇む寺院。 「さいほうじLABO」など地域交流活動を展開。 |
西法寺(さいほうじ)は、大阪府豊中市城山町にある浄土真宗本願寺派(西本願寺)に属する寺院で、本尊には阿弥陀如来を安置する。 創建は戦国時代の1534年(天文3年)に遡り、当時この地(旧福井村)の庄屋であった星野四郎太夫(法名:了忍)が浄土真宗に帰依したことに始まる。 星野氏は自邸内に念仏道場を建立し、阿弥陀如来を礼拝する場としたのが西法寺の起こりである。 その後、本願寺第10代法主・証如上人より阿弥陀如来の絵像本尊を下付されたと伝わり、これをもって浄土真宗の教えをこの地に広めた。
西法寺が正式に「寺院」として整備されたのは江戸時代初期の1672年(寛文12年)で、第6代住職・浄念の代に本願寺第14代法主・寂如上人より正式に寺号「西法寺」を賜った。 このとき、阿弥陀如来の木像本尊も下付され、寺院としての体裁が整えられた。 現在本堂に安置されている阿弥陀如来坐像は、宝永5年(1708年)に大阪阿波座の豪商・大津屋氏(法名:心入)によって寄進されたものである。 以来、西法寺は阿弥陀如来をご本尊として信仰を集め、江戸期を通じて堂宇の整備や本堂の荘厳が進められた。
長い歴史の中で、度重なる災害や戦火によって堂宇や仏像が損傷を受けることもあったが、そのたびに門徒や地域住民の協力によって修復・再建が行われ、法灯が守られてきた。 近代に入ると、1953年(昭和28年)12月に大阪府より宗教法人として認可を受け、「宗教法人西法寺」として新たな歩みを始めた。 現在は第18代住職のもと、創建から約490年の伝統を受け継ぎつつ、地域に開かれた寺院活動を展開している。 2034年には開基500年を迎える予定であり、古刹としての歴史と精神を次代へと継承するための記念事業も進められている。
本堂に安置されるご本尊・阿弥陀如来坐像は、1708年(宝永5年)に大阪阿波座の豪商・大津屋氏によって寄進された。 桧材の寄木造りと推定され、漆箔仕上げの荘厳な姿を見せる。創建当初の絵像本尊に代わり、300年以上にわたり信仰の中心となっている。 公的指定はないものの、江戸中期の仏像として歴史的・芸術的価値が高い。
境内鐘楼に吊るされる青銅製の梵鐘は、天明6年(1786年)の鋳造。 鐘身には銘文が刻まれ、豊中市指定有形文化財(美術工芸品)に登録されている。 大晦日の「除夜の鐘」では、約200名の参拝者が108回の鐘を撞き新年を迎える。 澄みわたる音色は地域の冬の風物詩として親しまれている。
木造瓦葺きの山門は西法寺の正面入口に構える。建立年代は不詳だが、梁や柱に古色を帯びた風格を漂わせる。 住宅街の中にひときわ目立つ佇まいで、長年にわたり地域を見守ってきた象徴的存在。 公的指定はないものの、歴史的景観の一部として大切に保存されている。
歴代住職による過去帳や由緒書き、親鸞聖人および歴代本願寺門主の御影など、寺史を伝える史料を所蔵。 一般公開はされていないが、特別行事の際には展示されることもある。 平成期以降は文化財保存の観点から、資料整理と保全活動が進められている。
境内中央に建つ入母屋造本瓦葺きの本堂は、西法寺の信仰と地域交流の中心。 内部には阿弥陀如来を安置する内陣があり、金箔と荘厳具で装飾されている。 毎月の法要や法話会が開かれるほか、地域向けイベント「おてらであそぼ」など新しい試みも行われている。
表玄関にあたる山門は薬医門風の木造構造。 普段は開放的だが、大晦日の除夜の鐘行事時には正面入口として案内され、厳かな雰囲気に包まれる。 その重厚な佇まいは、地域に根付いた寺院の歴史を感じさせる。
本堂脇に建つ入母屋造の鐘楼堂には、江戸期鋳造の梵鐘が吊られている。 毎日夕刻に時を知らせ、12月31日には除夜の鐘として参拝者が撞くことができる。 冬空に響く音色は一年の終わりと新年の始まりを告げ、地域の人々の心に響く伝統の音となっている。
境内には四季折々の草花が植えられ、小庭園風の景観をなす。 特に初夏には紫陽花が咲き誇り、青・紫・ピンクに彩られた花々が参拝者を迎える。 門前の松の古木とともに、歴史を感じさせる風景を形づくっている。 境内には石灯籠や由緒碑も点在し、散策しながら寺の歴史を感じることができる。
境内には納骨堂が併設され、浄土真宗の教義に基づく永代供養が行われている。 本堂裏手には歴代住職や門徒の墓所もあり、地域の精神的支柱としての役割を担っている。 寺務所では寺報の配布や法要ガイドなど、初めての参拝者にも丁寧な案内が行われている。
1534年(天文3年)
星野四郎太夫了忍が旧福井村(現・豊中市城山町)の自宅に念仏道場を建立。これが西法寺のはじまりとされる。
1672年(寛文12年)
第6代住職・浄念の代に、本願寺第14世法主・寂如上人より正式に寺号「西法寺」を拝受。 阿弥陀如来の木仏本尊を賜り、正式な浄土真宗寺院として認可される。
1708年(宝永5年)
大阪の豪商・大津屋心入の寄進により、阿弥陀如来の木造坐像を本尊として迎える。 現在も本堂に安置され、西法寺の信仰の中心となっている。
明治時代~昭和前期
幕末維新から第二次世界大戦期にかけて、火災や戦災で堂宇が被害を受けるが、その都度門徒と地域住民の力で復興。 法灯を絶やすことなく守り続ける。
1953年(昭和28年)
宗教法人法に基づき「宗教法人 西法寺」として法人格を取得。 戦後復興期に寺院体制を整え、地域に開かれた寺として再出発する。
2034年(令和16年)
創建から500年の節目を迎える予定。記念法要や記念行事の開催が計画されており、 地域の古刹としての歴史と信仰を次世代へ受け継ぐ機運が高まっている。