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蓮光寺れんこうじ

江戸時代に創建され、道標地蔵と地車を伝える浄土真宗本願寺派の寺院

所在地 大阪府吹田市南高浜町2-19
TEL 06-6381-0449
宗派 浄土真宗本願寺派
山号 芳地山(ほうちざん)
本尊 阿弥陀如来(浄土真宗のご本尊)
主な文化財等 浜の堂地車・川面町地車(吹田市指定有形民俗文化財)

吹田市指定文化財の浜の堂・川面町地車を保存し、地域行事や史跡ウォークで紹介される歴史的な信仰拠点

蓮光寺の正確な創建年代は不明ですが、江戸時代には既に当地に寺院が存在し、旧吹田村の門徒を支えていたと考えられます。浄土真宗本願寺派の寺院として阿弥陀如来をご本尊に地域の人々の信仰を集めました。周辺は亀岡街道が通る交通の要所であり、寺には当時の道標地蔵が今も伝わっています。境内奥の小さな地蔵堂に安置された地蔵菩薩立像は、街道沿いに立ち旅人の道しるべとなっていた石仏で、光背下部に行き先を示す刻銘が残る貴重な文化遺産です。現在は格子越しに拝観でき、往時の街道文化を伝えています。

もう一つの見どころは、地域の伝統行事である地車(だんじり)の保存です。境内には吹田市指定有形民俗文化財「浜の堂地車」と「川面町地車」が保管されています。浜の堂地車は天保年間(1830年代)、川面町地車は嘉永7年(1854年)に製作されたもので、江戸後期の匠の技を伝える貴重な山車です。両者は地域自治会により管理され、平成10年(1998年)に市の有形民俗文化財に指定されました。毎年夏に開催される「吹田だんじり祭」では、蓮光寺の地車も曳行され、賑やかな囃子とともに街を練り歩く姿は地域の誇りであり、多くの観光客を魅了しています。

  • 山門(さんもん)

    蓮光寺の表門はシンプルな木造門です。普段は閉ざされ施錠されていますが、寺内の行事や清掃時などに開かれることがあります。静かな境内を守るように建ち、落ち着いた雰囲気を漂わせています。

  • 本堂

    境内中央に建つ木造瓦葺きの正堂で、内部には本尊・阿弥陀如来像が安置されています。荘厳な内陣が設けられ、外観は素朴ながらもどっしりとした佇まいが江戸期以来の浄土真宗寺院の雰囲気を伝えています。参拝者は正面で手を合わせることができます。

  • 鐘楼(しょうろう)

    本堂脇に建つ小ぶりの鐘楼堂で、青銅製の梵鐘が吊るされています。毎朝夕の合図や法要の際に撞かれるほか、大晦日の除夜の鐘には近隣住民にも開放されます。規模は大きくありませんが、鐘の音は周囲に静かに響き渡り、風情を感じさせます。

  • 地蔵堂

    境内奥まった場所にある小堂で、格子戸越しに石造地蔵菩薩立像が安置されています。この地蔵菩薩は江戸時代に亀岡街道沿いの辻に立てられていた道標地蔵で、光背の下部には当時の道案内の文字が刻まれています。六地蔵方面や亀岡方面への方角を示したとされ、現在は地域の人々の安全を見守る仏様として篤く信仰されています。

蓮光寺のあゆみ

  • 江戸時代
    (17世紀頃)

    創建

    蓮光寺が当地に創建されたと伝わる。以来、吹田村の浄土真宗寺院として門徒の寄りどころとなる。

  • 18世紀頃

    地蔵道標の建立

    亀岡街道の整備に伴い、道標を兼ねた石仏(地蔵菩薩)が寺近くの街道沿いに建立。後年境内に移され「蓮光寺の地蔵道標」として残る。

  • 嘉永7年
    (1854年)

    川面町地車の製作

    大工・並河長兵衛兼廣らにより川面町地車が製作される。天保年間頃に製作された浜の堂地車とともに、吹田地域に複数の地車が揃う。

  • 明治以降

    近代の蓮光寺

    近代を通じて地域住民の信仰を集め、第二次世界大戦中も大きな被害を受けず、本堂や鐘楼などの堂宇が守られる。

  • 平成10年
    (1998年)

    文化財指定

    蓮光寺に保存される浜の堂地車・川面町地車を含む吹田市内の地車7台が、市指定有形民俗文化財に指定される。

  • 令和時代
    (現在)

    文化財活用と観光

    境内の地蔵道標や保存地車を活かし、地元有志や吹田市教育委員会による文化財見学会や史跡ウォークで紹介。観光客にとっても高浜神社と併せて訪れたいスポットとなっている。

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