| 名称 | 良風寺 |
|---|---|
| 所在地 | 大阪府豊中市北桜塚1-5-47 |
| 宗派 | 本門佛立宗(日蓮聖人の教えを受け継ぐ法華系仏教) |
| 山号 | 信現山(しんげんざん) |
| 開創 | 大阪市北区の清風寺(本門佛立宗)の豊中別院として創建 |
| 由緒 | 「清風寺」と呼応する寺号で、「良き風」を意味する「良風寺」と命名。 法華経の信仰を中心とした伽藍を有し、地域に根ざした信仰道場として発展。 |
| 本尊 | 法華経本門八品上行所伝の御本尊(南無妙法蓮華経) |
| 備考 | 常時の拝観受け入れは行っていないが、外観見学は可能。 法要・行事時に参詣可能(詳細は事前確認推奨)。 |
良風寺の歴史は、第二次世界大戦後の復興期に遡ります。 昭和28年(1953年)、本門佛立宗の宗務総長であり大阪・清風寺の住職でもあった西村日地上人は、 戦災で焼失した清風寺本堂の再建に際し、「大阪近郊に五ヶ寺の別院を建立する」という誓願を立てました。 この誓願のもと、昭和33年に鶴松寺(藤井寺市)、昭和41年に妙風寺(堺市)、昭和43年に浄風寺(東大阪市)、 昭和55年に清現寺(大阪市旭区)が順に建立され、最後の五ヶ寺目として昭和56年(1981年)に 豊中市北桜塚に約100坪の用地を取得し、清風寺豊中別院が創立されました。
初代住職(担任)には江口淳洋師(法号:日泱)が就任し、本門佛立宗・北大阪布教区の弘教拠点として活動を開始。 以後、北摂地域での布教が進み信徒数も増加していきました。 平成8年(1996年)には信徒数が1,000戸を超えたことを機に寺号の公称が許可され、 清風寺豊中別院は正式に「信現山 良風寺」として独立。 開基(創立者)は西村日地上人とされ、江口師に続いて西村日要師が第2世住職に就任しました。
寺号公称後も良風寺の発展は続き、平成9年(1997年)には新本堂建立に向けた長期奉讃事業を開始。 平成11年には第3世住職・藤本淳悦師(日修)が着任し、最初の会館(集会施設)が竣工しました。 その後、第2・第3会館の増築を経て御本尊(大曼荼羅)の奉安が進み、 平成21年(2009年)には第4会館が完成しましたが、同年末に日修師が急逝するという出来事がありました。 翌平成22年(2010年)、第4世住職に西村日要師が再任され、新たな体制で教化活動が進められました。
その後も信徒の協力によって伽藍整備が進展し、創立当初100坪であった境内は約700坪にまで拡大。 特に国道176号線から直接境内へ入れる通路が整備され、地域住民も利用できる公開参道として開放されました。 平成27年(2015年)には老朽化した会館群の解体が行われ、翌平成28年(2016年)には新本堂の起工式を執り行い、 同年10月に近代的な新本堂が竣工。 この竣工に合わせて日蓮大聖人御入滅(高祖会)法要と寺号公称20周年を兼ねた落慶式が盛大に営まれました。
さらに令和3年(2021年)には、コロナ禍により延期されていた「日蓮聖人ご生誕800年慶讃法要」と新本堂開堂式が、 全国の寺院関係者参集のもと厳かに執り行われました。 この大法要は良風寺にとって節目の行事となり、創建から40年を超える道のりの中で築かれた信仰と地域の結びつきを象徴しています。 戦後復興の誓願から始まった良風寺の歩みは、時代を越えて広がる信仰の力を今に伝えています。
良風寺の本堂は鉄骨造りの地上4階建で、延床面積約937平方メートルに及ぶ壮大な建物です。 1階はバリアフリー仕様の広い本堂空間で、靴を脱がずに参拝できる設計がなされています。 2階には寺務所や厨房、多目的室、3階には納骨堂(永代供養施設)と教務室、4階には住職の居住空間(庫裡)があり、 エレベーター完備の機能的な伽藍構成となっています。都市型寺院としての利便性と信仰空間の調和が特徴です。
建物正面に伝統的な山門は設けられていませんが、上部に法輪を想起させるモニュメントが据えられ、 一見して近代建築と分かる個性的な外観が印象的です。 本門佛立宗の他寺院でも見られる現代的設計を採用しており、「ビルのようでいて荘厳な寺院」と評されています。 国道176号線に面しながらも、清らかで落ち着いた佇まいを保っています。
本堂内部には、御本尊を安置する祭壇「御宝前(ごほうぜん)」が設けられています。 内陣は高い吹き抜け構造となっており、蓮の葉をイメージした切子ガラスとアルミ製の天蓋が吊るされています。 背面の壁には白金箔(プラチナ箔)が施され、全国の職人による精緻な手仕事が輝きを放っています。 モダンでありながら荘厳さを失わない意匠は、参詣者を魅了する現代仏教建築の粋です。
高窓(ハイサイドライト)からの自然光と、調光可能なLED照明による演出が特徴です。 控えめな照度の中で御本尊が際立つよう設計されており、静謐で心落ち着く参拝空間を実現しています。 天井や壁面の意匠には住職のこだわりが随所に見られ、伝統と現代美が融合した空間となっています。
境内には植栽や駐車スペースが整備され、南側の国道から直接入れる参道が地域に開放されています。 市街地の中にありながら、誰もが気軽に立ち寄れる清浄な空気に包まれた環境。 「開かれた寺院」として地域社会との関わりを大切にしており、信仰の場であると同時に交流の拠点ともなっています。
1953年(昭和28年)
清風寺住職・西村日地上人が、戦災からの復興を願い大阪近郊に5つの寺院を建立する誓願を立てる。 この誓願が、後に良風寺創建の発端となった。
1981年(昭和56年)
豊中市北桜塚の現在地に清風寺豊中別院(良風寺の前身)を開設。 初代住職に江口淳洋師(法号:日泱)が就任し、北大阪布教区の拠点として活動を開始する。
1996年(平成8年)
檀信徒数の増加により寺号公称が許可され、正式に「信現山良風寺」と称する一寺院となる。 この年は開基・西村日地上人の33回忌にあたり、第2世住職に西村日要師が就任した。
2016年(平成28年)
鉄骨造4階建ての新本堂が完成し、落慶法要と寺号公称20周年記念法要を挙行。 近代的設備を備えた本堂での布教体制が整い、新たな時代を迎えた。
2021年(令和3年)
新型コロナ禍の影響で延期されていた日蓮聖人ご降誕800年の慶讃大法要と新本堂開筵式を挙行。 全国から僧侶・信徒が参集し、良風寺の新たな門出を祝う盛大な法要が営まれた。