所在地 | 大阪府吹田市出口町10-2 |
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宗派 | 曹洞宗 |
創建年 | 文安2年(1445年) |
文化財 | 玉林寺文書(市指定文化財・戦国時代) |
玉林寺(ぎょくりんじ)は大阪府吹田市出口町にある曹洞宗の寺院で、本尊は釈迦如来です。室町時代中期の文安2年(1445年)、禅僧・惟中守勤(いちゅうしゅきん)によって開基されました。創建当初から摂津国の守護大名・細川氏の庇護を受け、戦国時代には細川一門から厚い保護を受けて発展したと伝わります。
寺には室町幕府管領・細川高国が発給した禁制(寺社保護の制札)や、その曾祖父・細川持春に関する古文書が残されており、玉林寺が細川家ゆかりの菩提寺であったことを示しています。寺号の「玉林寺」も細川持春の法号「玉林院」に由来するとされ、これらの歴史資料(玉林寺文書)は吹田市指定有形文化財となっています。
現在の玉林寺は、静かな境内に歴史ある建造物や文化財が伝わり、往時の趣きを感じられる隠れた名所として人々に親しまれています。
参道入口付近には「聖徳太子御自作帝釈天」と刻まれた石碑が建ち、石段を登ると茅葺屋根の山門が現れます。江戸時代からの門と伝えられ、苔むした土塀や覆いの掛かった屋根が長い歴史を物語っています。
境内中央の本堂は安政4年(1857年)に再建された入母屋造の茅葺屋根の堂宇です。現在は屋根を保護する覆いが掛けられていますが、軒先から茅の一部が覗き往時の趣を感じさせます。都市部では珍しい茅葺本堂として貴重な建造物です。
本堂の脇には帝釈堂があり、護法善神・帝釈天の尊像を祀っています。伝承によれば聖徳太子の自作とされる像で、元は近隣の帝釈寺の本尊でしたが、寺の廃絶後に玉林寺へ移されました。「片山帝釈寺」としても知られ、帝釈天信仰の霊場として崇敬を集めてきました。
境内は緑豊かで静寂に包まれ、秋には紅葉が美しく彩ります。歴史ある本堂と木立、石仏が調和し、訪れる人々に静かで厳かな雰囲気を与えてくれます。
1445年
(文安2年)
惟中守勤禅師が開山し、細川氏の庇護のもと創建。当初より細川一門の菩提寺的存在として位置づけられた。
16世紀前期
(戦国時代)
細川高国が発給した禁制や、細川持春に関する書状が残される。寺号「玉林寺」は持春の院号「玉林院」に由来とされる。これらの史料は「玉林寺文書」として吹田市指定有形文化財に。
1857年
(安政4年)
幕末に本堂を再建。茅葺屋根の本堂は現在も残り、歴史的建造物として保存されている。
現代
曹洞宗の寺院として信仰を継承。茅葺本堂や帝釈天像などの文化財を通じて往時の面影を伝え、歴史探訪の名所として多くの参拝者を迎えている。