所在地 | 大阪府吹田市西の庄町8-8 |
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電話 | 06-6388-0145 |
宗派 | 浄土真宗本願寺派(西本願寺) |
山号 | 西耀山(さいようざん) |
本尊 | 阿弥陀如来(南無阿弥陀仏) |
創建 | 不詳(伝承では戦国時代~安土桃山時代ごろの開創) |
浄光寺は戦国時代から江戸時代にかけて地域に根ざしてきた浄土真宗の寺院です。創建年は不詳ですが、吹田市周辺で本願寺の有力寺院だった「天満定専坊」を本山と仰ぐ末寺の一つとされ、16世紀後半の石山合戦の頃には本願寺教団の一翼を担っていたと伝えられます。江戸時代以降は町民や農民の信仰の拠り所として発展し、現在も法要や地域行事を続けています。
本堂内陣には金色に輝く阿弥陀如来のご本尊が安置され、春秋の彼岸会や報恩講などの法要や法話会で開扉されます。普段は門が閉まっているため直接拝観は難しいものの、門越しに落ち着いた本堂の佇まいを望むことができます。また本堂前には親鸞聖人の立像も安置され、一般の参拝者も仏縁に触れられるよう配慮されています。
境内入口の山門は瓦葺きの伝統的な門構えで、旧街道沿いに静かに佇んでいます。近年は防犯上閉門されることが多いものの、門越しに手入れの行き届いた境内や鐘楼を望むことができます。鐘楼に吊るされた梵鐘は大晦日に撞かれ、深い音色が新年の訪れを告げます。山門や鐘楼は改修を経つつも昔ながらの風情を保ち、吹田の街並みに歴史的景観を添えています。
浄光寺は有名観光寺院ではありませんが、泉殿宮参拝や市内散策の際に立ち寄れる静かなスポットです。境内は広くはないものの植栽や石仏が配置され、小庭のような趣があります。隅には江戸時代建立と推定される地蔵堂があり、地域の子どもや信徒たちが手を合わせる姿も見られます。神社の華やかさとは異なる落ち着いた仏教寺院の空気が漂い、訪れる人に安らぎを与えます。
今日でも門信徒の集いは活発に行われており、平成27年(2015年)には紙芝居を使った法話などユニークな「門信徒のつどい」も開催されました。地域に開かれたお寺として報恩講や盂蘭盆会のほか、子供向け行事や法話会なども催され、訪問時に行事と重なれば地域の仏教文化に触れることもできます。
浄光寺の本堂。阿弥陀如来をご本尊とし、内部は金色の須弥壇や欄間彫刻など浄土真宗寺院特有の意匠が施されています。 法要時に開放され、親鸞聖人の命日にあたる報恩講(11月)など重要な法要が営まれます。
寺の正門にあたる切妻造り本瓦葺きの伝統的な門。扉には寺紋が掲げられています。 平時は閉門していますが、門前からでも歴史ある門構えと境内の様子をうかがうことができます。
境内に建つ鐘楼堂には大きな梵鐘が吊るされており、門外からもその姿を望むことができます。 大晦日には除夜の鐘を撞く行事が行われ、近隣住民や門徒が108の鐘の音に一年の厄を祓います。
本堂前に立つ親鸞聖人の石像。旅の僧形をした姿で刻まれ、訪れる人々を静かに見守っています。 浄土真宗の開祖である親鸞の存在を象徴し、この地に教えが受け継がれていることを伝えています。
浄光寺のすぐ東隣に位置する古社・泉殿宮(神社)。平安時代中期創建と伝えられ、素戔嗚尊を祭神とすることから「牛頭天王の社」として親しまれました。 毎年2月、常光円満寺で行われる「吹田の火祭り」と合わせて賑わいを見せます。浄光寺と隣接しながら、仏教と神道という異なる文化を感じられる対比的なスポットです。
16世紀頃
(戦国時代)
浄光寺の起源とされる時期。寺伝では奈良時代創建とも伝わりますが定かではなく、この頃までに浄土真宗に改宗し寺号を「浄光寺」と称したと考えられます。
天正年間
(1570年代)
石山合戦の時代、天満の定専坊が本願寺勢力の拠点となり、吹田地域の浄光寺・光明寺などは定専坊の末寺として一向一揆に参加したと伝えられます。顕如上人が用いた軍扇が定専坊に伝わり、門徒を鼓舞した逸話も残ります。
江戸時代
(17~19世紀)
吹田村の寺院として本願寺派に属し、浄土真宗門徒の菩提寺・寄合所として機能。江戸中期以降には本堂や鐘楼が整備され、常光円満寺とともに吹田の宗教文化を支えました。
明治時代
(1868-)
廃仏毀釈の風潮の中でも存続し、本願寺派の教法を護持。近代以降は檀信徒組織「門信徒会」が結成され、寺院運営を支えるようになりました。
1945年
(昭和20年)
大阪大空襲で吹田市内も被害を受けましたが、浄光寺は戦火を免れたと推定されています。戦後は復興とともに本堂修復や境内整備が行われ、昭和後期に現在の趣ある姿が整いました。
2015年
(平成27年)
門信徒会主催で「門信徒のつどい」を開催。紙芝居法話など新しい試みを取り入れ、地域住民や子供たちに開かれた行事として親しまれました。
令和時代
(現在)
都市化の進む吹田市においても静かな佇まいを守り続けています。泉殿宮や常光円満寺とともに歴史ある宗教施設として観光客にも認知され、文化財的存在となっています。定期法要や寺ヨガ・写経会などの催しも行われ、現代に生きる寺院としての役割を果たしています。