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本勝院ほんしょういん

箕面の静寂に佇む歴史ある禅寺

所在地 大阪府箕面市箕面4丁目17-27
宗派 臨済宗妙心寺派
山号 金陵山
本尊 釈迦如来 – 両脇に文殊菩薩・普賢菩薩を安置
創建 宝暦年間(1750年代)頃
開基 夢関祖鳳禅師

夢関祖鳳ゆかりの禅域で釈迦三尊に向き合う、箕面の隠れ古刹・本勝院

本勝院は、大阪府箕面市の閑静な住宅街にひっそりと佇む禅宗寺院です。江戸時代中期の宝暦年間(1750年代)頃、寒山寺第5世住職であった夢関祖鳳禅師が隠居所として建立したのが始まりと伝えられています 。以後しばらくは尼僧(女性僧侶)によって寺が守られ、その歴史と伝統は細々と受け継がれてきました。
近代に入り第8世無極全方禅師が一時大阪市天王寺区堀越町にて本勝院を中興(再興)し、昭和初期には第9世純道素圭禅師によって現在の箕面の地へ寺基が移されました。現在は箕面の地に根付き、地域の人々に寄り添いながら歴史を今に伝えるお寺となっています。 寺域はそれほど広くありませんが、随所に歴史を感じさせる趣があります。山門をくぐるとこぢんまりとした境内に清らかな空気が漂い、訪れる人々を静寂が包み込みます。
本堂にはご本尊の釈迦如来像と文殊菩薩・普賢菩薩像が安置され、静かに祈りを捧げることができます。
臨済宗の禅寺らしい簡素で落ち着いた佇まいの中にも、長い年月を経てきた由緒ある寺院ならではの風格が感じられるでしょう。また周辺は箕面の豊かな緑に恵まれており、四季折々には新緑や紅葉など美しい景観も楽しめます。観光地・箕面公園にも程近い場所にありながら喧騒から離れ、心静かに歴史と文化に触れられるスポットです。

  • 山門

    瓦葺きの小さな四脚門が入口に構え、脇には「金陵山本勝院」と刻まれた石標が建っています。派手さはありませんが、質素な山門が静かな住宅街の中でひときわ目を引き、寺の歴史と風格を感じさせてくれます。

  • 本堂

    境内中央に建つ本堂では、ご本尊の釈迦如来を中心に文殊菩薩・普賢菩薩が祀られています。昭和初期の移転時に再建された建物で、木造瓦屋根の伝統的な佇まいです。内部は畳敷きの堂内に荘厳な仏壇が据えられ、訪れた方は静かに手を合わせながら禅寺の厳かな雰囲気を味わうことができます。

  • 観音像と久遠塔

    本堂横には白色の観音菩薩像が立ち、その足元には永代供養墓「久遠(くおん)」と名付けられた供養塔があります。こちらは跡継ぎのいない方でも安心して眠ることができる永代供養施設であり、観音像は納骨室を兼ねて建立されたものです。現代まで受け継がれた「後々まで供養を続ける」という本勝院の優しさが形となった見どころと言えるでしょう。

本勝院のあゆみ

  • 宝暦年間
    (1750年代)

    夢関祖鳳禅師が本勝院を創建

    寒山寺第5世・夢関祖鳳禅師が隠居の場として本勝院を創建。箕面の地に小庵が結ばれたのが寺の始まりと伝えられる。

  • 江戸後期~明治期

    尼僧住職による寺の継承

    夢関祖鳳禅師の入寂(1757年)後、尼僧たちが代々住職を務めて寺を維持。維新後の廃仏毀釈など困難な時代も、細々と信仰が守られたと考えられる。

  • 大正~昭和初期

    大阪・堀越町での中興と戦禍による衰微

    第8世無極全方禅師が大阪市天王寺区堀越町にて本勝院を中興(再建)。その後、戦禍などにより堂宇が被災し衰微。

  • 1933年
    (昭和8年)

    箕面市箕面4丁目への移転・再興

    第9世純道素圭禅師により、本勝院を現在地の箕面市箕面4丁目へ移転・再興。新たな本堂が建立され、寺の拠点が箕面に移る。

  • 昭和後期~平成

    地域に根ざした寺院活動の継続

    地域の人々の信仰の場として、年中行事(お彼岸やお盆の法要など)や永代供養を通じて活動を継続。昭和末期には境内整備や本堂の修復が行われ、平成以降も檀信徒に開かれた寺院として維持管理がなされる。

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