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徳善寺とくぜんじ

戦国期の真宗道場を起源に、江戸時代に正式創建された浄土真宗本願寺派の寺院

所在地 大阪府吹田市内本町3-1-15
電話 06-6382-1616
宗派 浄土真宗本願寺派(西本願寺)
山号 龍華山
本尊 阿弥陀如来
創建 寛文13年(1673年)
文化財等 戦国時代の阿弥陀如来絵像「方便法身像」(伝・顕如下付)を所蔵

戦国期の方便法身像を伝え、平成の本堂再建や令和の地域イベントを通じて現代にも開かれた信仰と交流の拠点

室町時代末期から安土桃山時代にかけて、浄土真宗の教えは吹田地域に急速に広まり、各地に門徒の集会所「惣道場」が成立しました。徳善寺の前身となる道場も16世紀後半頃に開かれ、本願寺(顕如)から下付された阿弥陀如来の絵像(方便法身像)を信仰の拠り所としていました。この絵像(高さ約92cm)は現在も徳善寺に伝わり、吹田市内に残る数少ない戦国期の真宗絵像として大変貴重です。

江戸時代の寛文13年(1673年)、開基・教順の願い出により徳善寺は本山から正式に寺院としての許可を得ます。本願寺第十四世・寂如上人から阿弥陀如来の木仏を下付され、寺号を「徳善寺」、山号を「龍華山」と定めました。以来、地域住民の信仰を支える場として、江戸期から明治・大正を通じて門徒たちが集う精神的拠点となりました。

現在の本堂は平成14年(2002年)に再建された鉄筋コンクリート造の建物で、伝統的な意匠を取り入れつつ荘厳な内陣を備えています。この再建によってしばらく途絶えていた法要も復興し、同年には寺報「徳善寺だより」も創刊されました。境内は広くはありませんが、四季折々の花木が植えられ、春には白木蓮(こぶし)の花が本堂前に咲き誇り、訪れる人々を楽しませています。歴史的遺産と自然が調和する静かな境内は、徳善寺の魅力ある見どころのひとつです。

  • 山門(さんもん)

    徳善寺の山門は伝統的な切妻屋根の門で、扁額には「龍華山德善寺」と山号・寺号が掲げられています。 普段は門扉が閉ざされていることもありますが、脇の通用口から自由に境内へ入ることができます。 門前の石畳と佇まいは、歴史ある寺院の風格を感じさせます。

  • 本堂

    境内正面に建つ本堂は、阿弥陀如来をご本尊とする徳善寺の中心伽藍です。 現在の本堂は21世紀初頭に再建された新しい建物で、木目を生かした荘厳な内陣が落ち着いた雰囲気を醸し出しています。 須弥壇に安置された阿弥陀如来像は寛文13年(1673年)に本願寺から下付されたものと伝わり、歴史を今に伝える尊い仏像です。

  • 阿弥陀如来絵像(方便法身像)

    戦国時代に本願寺第11世・顕如が門徒教化のために与えた「方便法身尊像」の一つで、徳善寺が所蔵する寺宝です。 縦約92cmの絹本着色画で、中央に阿弥陀如来が金泥で描かれています。裏面には顕如上人の署名があり、歴史資料的にも価値が高い貴重な遺品です。 通常は非公開ですが、複製が博物館展示で紹介されたこともあります。

  • 庭園・環境

    境内はこぢんまりとしていますが、植木や花々が丁寧に手入れされています。 本堂前には白木蓮の木があり、春には白い花を咲かせ訪れる人々を楽しませます。 また、動物の形に剪定された樹木などユニークな景観もあり、墓地には門徒の墓石が並び、長年の信仰の厚みを感じさせます。

  • 年中行事

    徳善寺では報恩講、彼岸会、盂蘭盆法要など浄土真宗の伝統行事が営まれています。 近年は「お寺マルシェ」や「寺ヨガ」といった地域向けイベントも開催され、観光客にとっても地元住民と交流できる機会となっています。 境内が賑わうキャンドルや市の雰囲気を楽しめることもあり、地域に開かれた寺院としての役割を担っています。

  • 寺院横のカフェ

    徳善寺横には小さな焼き菓子工房「桜雅~ouka~」があります。 マドレーヌやスコーン、マフィンなど手作りの優しい味わいの菓子を販売しており、週4日の営業で売り切れ次第終了の隠れ家的なお店です。 境内散策の後に立ち寄れば、お寺の歴史と現代的なカフェ文化の取り合わせを楽しむことができます。

  • 16世紀後半
    (戦国時代)

    道場の成立

    吹田周辺で真宗門徒の道場が成立。本願寺第11世・顕如より阿弥陀如来の方便法身像(絵像)が下付され、本尊として祀られる。地域に真宗の教えが広まり始める。

  • 1673年
    (寛文13年)

    徳善寺の創建

    教順の願い出により本山から寺号公称が許され、本願寺14世・寂如より阿弥陀如来木仏を下付。山号「龍華山」を称し、浄土真宗本願寺派の寺院として開基。吹田村門徒の拠点となる。

  • 1868年
    (明治元年)

    近代の歩み

    廃仏毀釈など維新の動乱期を経ても存続。寺院制度改革の中で本願寺派の一員として近代を迎え、門徒とのつながりを保ち信仰が継承される。

  • 1945年
    (昭和20年)

    戦中・戦後

    大阪空襲で吹田市も被害を受けたが、本堂は直接の損害を免れ戦火を乗り切る。戦後は都市化が進む中でも寺域を保持。

  • 2002年
    (平成14年)

    本堂再建と再興

    老朽化した本堂・庫裏を再建し、3月に再建後初の彼岸会を厳修。寺報『徳善寺だより』を創刊し、新住職の下で寺院活動を本格的に再開。

  • 2019年
    (令和元年)

    お寺のワークショップ

    6月、初の寺院マルシェ「お寺のワークショップ」を開催。地元店舗や農家が出店し、境内が地域交流の場に。以降、寺ヨガや季節市など新しいイベントが継続。

  • 2022年
    (令和4年)

    焼き菓子工房オープン

    寺院横に「桜雅~ouka~」が開店。地元客や観光客で賑わい、寺院と地域ビジネスの協働による新たな魅力が発信されている。

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