所在地 | 大阪府豊中市小曽根1-15-33 |
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電話 | 06-6334-4550 |
宗派 | 浄土真宗本願寺派(西本願寺) |
山号 | 香華山(こうげさん) |
本尊 | 阿弥陀如来 |
創建 | 明応年間(1490年代頃) ※浄土真宗に改宗 |
開基 | 顕如上人(本願寺第11世) |
中興 | 元禄期(1702年再建) |
拝観 | 境内自由(拝観無料) |
交通 | 阪急宝塚線「服部天神駅」徒歩約15分 ほか |
常光寺(じょうこうじ)は、大阪府豊中市小曽根にある浄土真宗本願寺派(西本願寺系)の寺院で、もとは真言宗の「直入院(じきにゅういん)」と呼ばれる寺であった。 戦国時代の明応年間(1492~1501年)頃、本願寺第11代・顕如上人が石山(大阪)に滞在した際、当地の直入院が浄土真宗に改宗し、「常光寺」の寺号を賜ったと伝えられている。 これにより真言宗系の寺から本願寺門徒の寺へと転じ、以来500年以上にわたり西本願寺系寺院としての歴史を重ねてきた。
江戸時代の貞享2年(1685年)には伽藍が何らかの理由で焼失し、一時荒廃するが、元禄15年(1702年)に再建願が提出された記録が残る。 現在の本堂はその再建当時の建築を基礎に、江戸末期に改築されたものである。 内陣(仏壇部)が後方へ張り出す独特の構造を持ち、江戸中期の建築様式を今に伝える貴重な遺構とされている。 築300年以上の堂宇として、豊中市域に残る数少ない歴史的建造物の一つである。
明治維新後も廃仏毀釈の影響を免れ、浄土真宗寺院として存続。 昭和初期には当時の住職・藤林泰巌が寺子屋(私塾)を開き、地域の子どもたちに教育の機会を提供した。 こうした活動により、常光寺は信仰の場であると同時に、地域の文化・教育を支える場としての役割も果たしてきた。
現在、常光寺は市街地の住宅に囲まれながらも静かな佇まいを保ち、境内には四季折々の草花が彩りを添える。 平成30年(2018年)には、現代のニーズに応えて「24時間いつでもお参りできるように」との願いから、山門外に永代供養墓「俱會一處(くえいっしょ)」を新設。 伝統と近代的配慮を融合させた姿勢が評価されており、古刹としての歴史的景観とともに、地域の人々が心を寄せる信仰と安らぎの場として親しまれている。
常光寺の本堂は入母屋造瓦葺きの堂宇で、元禄期建立・江戸末期改築の由緒ある建物。 正面からは伝統的な真宗寺院の落ち着いた外観を見せるが、背面には内陣(仏壇部)が張り出した独特の構造を持つ。 本尊・阿弥陀如来を安置し、静寂な境内に重厚な存在感を放つ。 歴史的建造物として豊中市内でも貴重な寺院建築のひとつである。
寺の正門にあたる山門は、本堂へと続く入口に構える伝統的な木造門。 切妻または入母屋造の屋根を持ち、門柱には寺号「常光寺」の額が掲げられている。 石畳の参道を進むと正面に本堂が望め、朝夕には門越しに見る本堂のシルエットが情緒的で、参拝者を静かな境内へと誘う。
本堂脇に建つ鐘楼は、入母屋造瓦葺きの覆屋を持ち、青銅製の梵鐘が吊るされた立派な造り。 大晦日には「除夜の鐘」が撞かれ、澄んだ鐘の音が夜空に響き新年を告げる。 長年地域の人々に親しまれており、写真映えする美しい建築でもある。
山門のすぐ外側に平成30年(2018年)に建立された合同納骨型の永代供養塔。 「24時間いつでもお参りできるように」という住職の願いのもと設置され、宗派を問わず利用可能。 ステンレス構造による近代的な納骨施設で、耐震性に優れ安全に配慮されている。 歴史ある境内の風景に調和するよう設計されており、新旧が共存する現代的な寺院の象徴となっている。
明応年間(1492~1501年)
もとは真言宗寺院「直入院」であったが、本願寺第11代・顕如上人が石山滞在中に浄土真宗へ改宗。 「常光寺」の寺号を賜り、本願寺門徒の寺院として再出発する。
1685年(貞享2年)
火災などにより堂宇が消失し、一時荒廃。以後再建まで寺勢が衰える。
1702年(元禄15年)
幕府に再建願を提出し、伽藍を再興。現在の本堂の原型がこの時に建立された。 江戸中期の再建により、寺は再び地域信仰の中心となる。
江戸時代末期(19世紀後半)
本堂内陣を後方に増築し、独特の構造を完成させる。江戸後期の建築様式を今に伝える貴重な遺構となる。
江戸末期~明治初年(19世紀後半)
第○世住職・藤林泰巌が常光寺に寺子屋を開き、地域の子どもたちに教育を施す。 信仰だけでなく学問を通じて地域文化の発展に寄与する。
1937年(昭和12年)
藤林泰巌住職が郷土の景勝を詠んだ漢詩『小曽根八景』を著し、住吉神社に奉納。 小曽根地域の自然と文化を後世に伝える貴重な史料として今も語り継がれている。
2018年(平成30年)
山門外に24時間参拝可能な合同納骨施設「俱會一處(くえいっしょ)」を新設。 宗派を問わず利用できる永代供養墓として、現代のニーズに応える取り組みを行う。
令和時代(現在)
江戸期建立の本堂・鐘楼など歴史的建造物を有し、豊中市の文化遺産の一つとして保存・活用が進む。 『とよなか歴史・文化財ガイドブック』でも紹介され、地域の信仰と観光を結ぶ古刹として注目されている。