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大鏡寺だいきょうじ

安土桃山時代に創建され、大阪大空襲を経て吹田に移転した浄土宗の寺院

所在地 大阪府吹田市五月が丘南23-1
TEL 06-6388-2476
宗派 浄土宗
山号 明耀山(みょうようざん)
院号 来迎院(らいこういん)
本尊 阿弥陀如来(木造坐像)
創建 文禄2年(1593年)
開山 深蓮社心誉上人
正式名 明耀山来迎院大圓鏡寺(めいようざん らいこういん だいえんきょうじ)
主な所蔵品 土佐秀信筆「當麻大曼荼羅」、
後陽成天皇御筆の阿弥陀如来名号、
幡随意上人筆「一枚起請文」など

明星池のほとりで始まり、幡随意上人ゆかりの寺号を伝え、現在も地域に根ざして信仰を受け継ぐ寺院

大鏡寺の歴史は安土桃山時代にさかのぼり、文禄2年(1593年)に浄土宗の僧・深蓮社心誉上人によって大阪天満宮北側の明星池のほとりに「明星山来迎院圓照寺」として創建されました。寺号の「明星山」は建立地にちなんだものと伝えられています。江戸初期には名僧・幡随意上人が来訪し、本堂新築の際に「明耀山」の額を賜り、慶長18年(1613年)には「大圓鏡寺」の額を揮毫されたことで、寺号を「明耀山来迎院大圓鏡寺」と改めました。現在の「大鏡寺」という呼称はこの正式名を略したものです。江戸時代を通じて信徒を集め、善光寺ゆかりの「日本善光寺四十八願所巡礼」第8番札所や、大阪三十三観音霊場の札所として栄えました。

その後、天保年間の火災や昭和20年(1945年)の大阪大空襲で堂宇を失いましたが、昭和35年(1960年)に吹田市五月が丘南に移転。昭和38年(1963年)に本堂と庫裏を再建し、現在の伽藍が整えられました。戦後も地域に根ざした寺院として活動を続け、巡礼地として参拝者を迎えています。

寺宝と信仰

大鏡寺には、江戸時代の絵師・土佐秀信筆「當麻大曼荼羅」、後陽成天皇直筆と伝わる阿弥陀如来名号、幡随意上人筆の「一枚起請文」など貴重な寺宝が伝わります。これらは当寺の長い歴史と浄土宗信仰の厚さを示す文化遺産です。現在は「大阪新四十八願所阿弥陀巡礼」の第6番札所として参拝者を迎えるほか、大阪三十三観音霊場の札所でもあり、境内には観音菩薩像も安置されています。巡礼で訪れる際には本尊の阿弥陀如来だけでなく観音像にも手を合わせることで、大鏡寺の歴史と信仰の深さを感じ取ることができます。

  • 本堂

    現在の本堂は1963年に再建された鉄筋コンクリート造平屋建てで、質実な和風様式の外観を備えています。 内部には本尊・阿弥陀如来坐像が安置され、穏やかな表情で参拝者を迎えます。 また、大阪三十三観音霊場の札所でもあり、観音菩薩像も祀られています。 正面に掲げられた「大圓鏡寺」の扁額は、江戸時代に幡随意上人から贈られた由緒を伝えるものです。

  • 山門

    山号「明耀山」の扁額が掲げられた山門は、本堂へと続く入口を飾る薬医門風の門です。 黒瓦葺きの屋根と白壁が調和し、住宅街の中にひっそりと佇む荘厳な雰囲気を醸し出しています。 通常は閉じられていますが、法要や行事の際には開放され参拝者を迎え入れます。

  • 庭園と石塔

    本堂脇には緑豊かな庭園があり、十三重石塔が据えられています。 この石塔は古寺から移設された供養塔とも伝えられ、境内に歴史的な趣を添えています。 四季折々の花が彩る庭を眺めながら散策すれば、都会の喧騒を忘れて心落ち着くひとときを過ごせます。

  • 年中行事

    大鏡寺では春分・秋分の彼岸会、夏の盂蘭盆施餓鬼会、晩秋の十夜(お十夜)法要など、年間を通じて多彩な仏教行事が営まれています。 先祖供養や念仏の実践を深める大切な機会であり、地域の人々も参加します。旅行者にとっても日本の仏教文化を体験できる貴重な場となっています。

大鏡寺のあゆみ

  • 1593年
    (文禄2年)

    創建

    深蓮社心誉上人により大阪天満(東寺町)にて創建。当初の寺号は「明星山来迎院圓照寺」。

  • 1613年
    (慶長18年)

    寺号改称

    京都・知恩寺の幡随意上人が来訪し、山号「明耀山」、寺号「大圓鏡寺」の額を拝受。寺号を「明耀山来迎院大圓鏡寺」に改称。

  • 1834年
    (天保5年)

    火災と再建

    火災により堂宇焼失。天保8年(1838年)にも再度類焼するが、その後再建。

  • 1945年
    (昭和20年)

    大阪大空襲

    6月の大阪大空襲により寺域が全焼。伽藍・寺宝の多くを失う。

  • 1960年
    (昭和35年)

    吹田市へ移転

    大阪市内から吹田市五月が丘南の現在地へ移転。戦後の都市復興に伴い郊外へ寺基を移す。

  • 1963年
    (昭和38年)

    伽藍再建

    新本堂、庫裏など主要伽藍が再建落成。以後、地域檀信徒の寺院として再出発。

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