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冷雲院れいうんいん

文禄年間に創建され、江戸期伽藍を今に伝える大阪北区の浄土宗古刹

所在地 大阪府大阪市北区野崎町4-4
宗派 浄土宗(知恩院派)
山号 松景山(しょうけいざん)
本尊 阿弥陀如来坐像
創建 文禄4年(1595年)
開基 霊誉義空上人

大阪中心部に400年以上の歴史を刻む、浄土宗古刹・冷雲院

冷雲院(れいうんいん)は、大阪市北区の寺町通りに位置する浄土宗知恩院派の寺院で、文禄4年(1595年)に霊誉義空上人によって開かれました。周辺の太融寺町・兎我野町・野崎町から天満橋筋にかけては多くの寺院が集まる寺町であり、冷雲院もその一角に佇む古刹として400年以上もの間、都心の中で信仰の場を守り続けています。境内はこぢんまりとしながらも、壮麗な本堂や山門など江戸期再建の建物が今も残り、歴史的価値の高い寺院として知られています。なお、一般参拝はできず、通常は門越しに外観を見学するのみとなります。

冷雲院は大阪新四十八願所阿弥陀巡礼の第4番札所で、江戸中期の元文5年(1740年)から続く阿弥陀如来巡礼の要所として古くから名を連ねています。また、浄土宗の開祖・法然上人(円光大師)ゆかりの「大阪円光大師二十五霊場」の第四番霊場にも数えられ、地域の信仰文化に深く貢献してきました。天満の大火で一度伽藍を焼失しましたが、嘉永元年(1848年)までに本堂・堂宇を再建し、第二次世界大戦の大阪大空襲では戦災を免れたため、今日も江戸再建期の建造物が当時の姿を留めています。戦前の大阪市街地の面影を伝える貴重な寺院として存在感を保ち続けています。

  • 山門(寺格を伝える荘重な門構え)

    冷雲院の山門は黒塗りの柱と瓦屋根を備えた重厚な造りで、寺の歴史と品格を静かに物語ります。 現在の山門は江戸後期(19世紀中頃)の再建と伝わり、木造瓦葺きの意匠が特徴です。 都心である大阪駅周辺とは思えぬ落ち着きをたたえ、普段は扉が閉ざされているものの、 黒光りする門柱や軒下の細やかな意匠は外側からでも見応えがあり、街中でひときわ目を引く存在となっています。

  • 本堂(江戸期再建の古建築と伝承の阿弥陀仏)

    本堂は天満の大火後に再建された嘉永元年(1848年)の木造建築で、入母屋造の瓦屋根をもつ古刹らしい風格を今に伝えます。 戦災や震災を耐え抜き残された貴重な伽藍であり、堂内には本尊・阿弥陀如来坐像が安置されています。 この阿弥陀仏は平安時代の高僧・恵心僧都源信(942–1017)が作ったと伝えられる霊像で、高さ約5尺(約1.5m)に及ぶ堂々たる尊像です。 由来や制作年代の詳細は不明ながら古い伝承が残り、篤い信仰を集めてきました。 また外陣天井には、明治時代の日本画家・鈴木正念による墨絵の龍が描かれ、静謐な堂内に芸術的な彩りを添えています。 堂内は非公開ですが、これらの文化的価値は専門調査を通じて高く評価されています。

  • 弘法大師堂(浄土宗寺院では稀有な空海堂)

    境内には浄土宗寺院としては珍しく弘法大師(空海)を祀る弘法大師堂があります。 本堂脇に静かに佇むこの堂宇は、宗派を超えて信仰を受けてきた歴史の現れであり、 江戸期以降に信徒の請願で建立されたと伝えられています。 現在も地域の人々が密かに手を合わせる姿が見られ、冷雲院の特色を象徴する存在です。

冷雲院のあゆみ

  • 1595年
    (文禄4年)

    霊誉義空上人により創建

    文禄年間、大坂天満の地に浄土宗知恩院派の寺院として開山。以後400年以上にわたり地域に根付く古刹となる。

  • 江戸後期
    (19世紀前半)

    天満の大火により伽藍を焼失

    天満一帯を襲った大規模火災で本堂を含む主要伽藍が全焼。寺観は大きな被害を受け、復興が急務となった。

  • 1848年
    (嘉永元年)

    本堂・山門など主要堂宇を再建

    焼失から復興し、現在まで残る本堂・山門などがこの頃に建立された。江戸再建期の姿を今日に伝える重要な伽藍となる。

  • 1740年
    (元文5年)

    阿弥陀四十八願所巡礼の創始

    大阪で阿弥陀四十八願所巡礼が始まり、冷雲院は第4番札所として選ばれた。以降、阿弥陀信仰の巡礼地として重要な役割を担う。

  • 1909年
    (明治42年)

    「北の大火」を免れ伽藍が残存

    大阪市街を焼き尽くした明治最大級の大火「北の大火」では類焼を免れ、寺観は無事保たれた貴重な例となった。

  • 1945年
    (昭和20年)

    大阪大空襲を奇跡的に免れる

    3月・6月の大空襲で周囲の寺町が焦土と化す中、冷雲院は戦禍を免れ、本堂・山門など江戸再建期の姿が残る希少な寺院となった。

  • 1966年
    (昭和41年)

    庫裏を鉄筋コンクリート造で再建

    老朽化した庫裏を撤去し、新たに鉄筋コンクリート造の庫裏を建立。都市環境に対応した寺院整備が進む。

  • 2011年
    (平成23年)

    大阪新四十八願所巡礼の再興に参加

    法然上人800年遠忌を機に巡礼が「大阪新四十八願所」として再興され、冷雲院も再び第4番札所として加わり現在に至る。

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